夫婦2人では快適だった家も、奥さんの妊娠で家族が増えるとなると、様々な不都合が出てくることがあります。環境が子育てに向いていなかったり、手狭になったりなどがその主な理由です。
引越し時期を自由に選べる場合は、妊娠時期をずらして引っ越しすることもできます。しかし、転勤などで妊娠中であっても引っ越しせざるを得ない場合もあります。
妊婦であることはもちろん、上の子がいるかどうかの条件で、準備や手続きで体にかかってくる負担は大きく変わってきます。
今回は、妊娠中(妊婦さん)の引越し準備と手続きの注意ポイントについて解説します。(この記事はサイト管理人の知人で、妊娠中に引っ越しを経験した30代の女性に書いてもらっています)
上の子がいない場合の妊婦さんの引越しポイント
子育て世代の若い働き盛りの男性は、日々の帰りが遅くなりがちです。また、上の子がいない場合は、共働きにより妻も妊娠中でも働いているケースが多いです。
たとえ、妻の方が早く帰宅できたとしても、家事一切を妻が担っている家庭が多いのも現実です。
仕事、家事だけでもヘトヘトになります。上の子がいなくて子育ての必要がないからと言って、さらに引越しの準備を妻ひとりに押し付けるのは、身重の妻にとっては拷問以外の何者でもありません。
また、妊娠中の引越しで重いものを持つことは、せっかく授かった命を流産させてしまう危険が高くなります。
引越し準備は夫婦で力を合わせて行うのはもちろんです。ただ、このような流産リスクを避けるためにも、妊娠中はできるだけ引っ越し専門業者に、準備も含めすべておまかせする方が得策です。
上の子がいる場合の妊婦さんの引越ポイント
上の子がいると、大人の都合だけで手続きや梱包をするわけにはいかなくなります。
特に、上の子が3歳未満の場合は、引越しの梱包をしている横で荷物を引っ張り出したり悪さをしたりします。
出来ることなら実家の両親に上の子を見てもらうか、一時保育に預けないと作業は全く進まないという事態になりかねません。
また、上の子で手一杯なのに、さらに自分も妊娠しているとなると大変です。上の子がいない場合と同様に、流産リスクがありますので、こちらもできるだけ引っ越し専門業者に、準備も含めすべておまかせすることをおすすめします。
妊婦のお母さんが倒れてしまったら元も子もありません。ご主人を含めた家族は、子供と妊婦のお母さんが離れる時間を少しでも作ってあげて、休む時間を確保することが大切です。
引っ越しに適・不敵な妊娠時期とは?
妊娠初期(妊娠4ヶ月くらいまで)
流産の可能性が一番高い時期です。つわりなどの症状もあるため、無理に動けないこともあります。この時期の引っ越しは避けた方が無難です。
妊娠中期(妊娠5〜6ヶ月くらい)
安定期と呼ばれている妊娠5〜6ヶ月くらいは、妊娠初期に比べると体調は安定しています。
お腹もまだそんなに大きくないので、妊娠中の引越しの中では最も適しています。ただ、適していると入っても重い荷物を持たないなど無理は禁物です。
妊娠後期(妊娠8ヶ月以降)
お腹も大きく、いつ生まれてくるかわからないので、適度な運動は必要ですが、無理せず休息することも大切な時期です。
お腹が重いので、ちょっと運動しただけで体力のない人は息切れしてしまいます。引越し手続き等で動き回ることがなかなかできないので、この時期も引っ越しは避けた方が無難です。
妊婦さんの引越し作業の注意ポイント
注意ポイントとは?
妊婦さんの引っ越しでは、以下のことに特に気をつけましょう
力むことでお腹が張ったり不正出血したり、流産のリスクあり
・高所のものは手を出さない
バランスを崩して転倒する危険あり
・長時間立ったままで作業しない
貧血を起こす危険あり
・休憩をとりながら作業する
体調悪化につながる
・出産準備をしておく
いつでも入院できるように準備したバッグを用意しておく
絶対に重いものは持たない
特に、「重いものを一人で持つことは絶対禁忌」なので、妊婦一人で引越し作業をすることは避けてください。
たとえ短い距離であっても重いものを運ぶ作業は、妊婦には負担がかかりすぎます。最悪の場合、流産など母子ともに命の危険にさらされます。
したがって、いくらパートナー(夫)の仕事が忙しく手伝ってもらえない場合でも、一人で引越し作業しようとは絶対に思わないでください。
可能な限り、家族や友人・知人に手伝ってもらうか、費用はかかりますが引越し専門業者の梱包から荷ほどきまでのおまかせサービスを受けるようにしてください。
たとえば、人を持ち上げる作業の多いハードワークの看護師や介護士で流産する人が多いです。そのような職種の人は、妊娠したらハードワークからデスクワークに切り替えてもらえるよう、多くの職場では配慮しています。
妊婦さんは何をするべきか?
ただ、妊婦だからと言って何もしないわけにはいかないので、重いものは家族や男性に任せ、軽い食器や雑貨などの梱包を行うようにしましょう。
何もしなければ、「妊婦様」とイヤミを言われて、家族喧嘩や夫婦喧嘩に発展することもよくある話です。
こうした場合、引越し作業は人に任せて、自分のペースで洗濯・炊事・食器洗い・掃除などの軽い家事をしても良いでしょう。
妊婦に必要な引越し手続き
妊婦さんの引越しの手続きは、通常の手続きプラス、以下のようなものがあります。
母子手帳
母子手帳は、各地域でデザインや大きさに違いはありますが、内容はほぼ同じなのでそのまま使えます。
妊婦健康診断受診票
妊婦健康診断受診票(妊婦検診の助成の券)は、市区町村によって助成内容が違います。同じ市区町村内での引っ越しは問題ありませんが、他の市区町村へ引越しする場合は、必ず転出先と転入先の役所に確認してください。
受診料の払い戻しや妊婦健康診断受診票の交換など、個人によって手続きが変わります。
病院探し(転院手続き)
今通っている病院が、引っ越しにより通える範囲でなくなった場合は、出産できる病院探しも並行して行わなければなりません。
病院探しは引越しが決まったらすぐにでも始めて、今通っている病院の先生に紹介状を書いてもらった上で、転院手続きを進めてください。
また、多少遠くても今まで通っていた病院のほうが安心できるという場合は、そのまま通い続けるという選択肢もあります。
転院のメリット・デメリットを良く考え、決定してください。
出産直後の引っ越しはデメリットしかない
妊娠中を避けて、いっそのこと出産してからすぐに引っ越そうと思っていると大変な目にあいます。その主な理由は、
2、慣れない新生児との生活で、寝不足も加わりさらに疲れが増している
3、新生児を連れての引越し作業は、忙しい育児の合間に行わなくてはならない
4、ホルモンバランスが崩れて精神的に不安定になっている
以上のことから、出産してからの引っ越しは妊娠中よりもさらにハードルが上がります。
産褥期(さんじょくき)と呼ばれる出産後1ヶ月間は、妊娠前の体に戻ろうとしている時期なので、基本的に安静第一です。
もし、この出産直後に引越しする場合は、迷わず引っ越し専門業者にすべてお願いしましょう。
まとめ
筆者は、第一子妊娠後期に県営団地に引越ししました。
同一市町村区内の引っ越しだったのでまだ手続きは少なかった方です。ただ、頼れる家族が夫と義母だけでした。
筆者の実家の母親は早くに亡くしていて、父親だけだったので実家とは疎遠になりつつあり、正直無理をして引越しの梱包作業などをしたこともあります。
その結果、いつもよりお腹の張りが強くなって慌てて休憩したという経験もあります。
このように頼れる人が少ない場合は、引越し業者をうまく使うようにしましょう。引っ越し専門業者にすべてを依頼すると多少お金がかかりますが、費用を抑えるためには出来るだけ荷物を少なくすることがポイントです。
妊娠中であっても荷物の選別は出来ます。荷物の選別ポイントは、ズバリ「新居で必要かどうか?」です。
妊娠前の服で着ようかどうか迷っている場合は間違いなく着ません。サイズが変わることも多いからです。思い切ってゴッソリ処分することをお勧めします。
そうすることで、引越し費用を抑えることができます。妊娠中で作業は手伝えなくても、このような工夫はどんどん行いましょう。